ERPC、Solanaネットワーク基盤を大幅改善。Rust製高性能プロキシ基盤を全面更新し、全リージョンの共有RPC・gRPC・Shredstreamへ適用。ゼロダウンタイム運用を実現
ERPC、Solanaネットワーク基盤を大幅改善。Rust製高性能プロキシ基盤を全面更新し、全リージョンの共有RPC・gRPC・Shredstreamへ適用。ゼロダウンタイム運用を実現

ELSOUL LABO B.V.(本社:オランダ・アムステルダム、代表取締役 CEO:川崎文武)および Validators DAO が運営する ERPC は、Solana 向けネットワーク基盤の大規模アップグレードを実施しました。
本アップデートは、ERPC が提供する全リージョンの全共有エンドポイント(Solana RPC、Geyser gRPC、Shredstream)にすでに適用されています。接続初動、TLS 処理、キャッシュ制御、HTTP/1.1・HTTP/2 転送、長時間接続時の挙動、観測と切り分けのための計測といった、実運用で結果に影響しやすい基盤挙動を一体として更新しました。
通常時の快適さを前提として維持しながら、ピーク時に発生しやすい揺らぎ、連続稼働時の不安定化、切断や再接続が連鎖して結果へ波及する局面においても、挙動が偏りにくい条件をネットワーク基盤側から整理しました。これにより、Solana の実運用において、高速性と安定性の両立が継続しやすい環境へ更新されています。
あわせて、ネットワーク設定変更および基盤アップグレードを、完全なゼロダウンタイムで適用できる運用構造へ移行しました。価格、仕様、認証方式、レート制限の変更はなく、既存の ERPC 利用者の皆様は、追加の設定や作業を行うことなく、改善の効果を受け取ることができます。
背景
Solana の実運用では、平均的な応答時間や通常時のレイテンシが重要であることは前提条件です。一方で、負荷が集中する瞬間、長時間にわたる接続、切断や再接続が発生する局面では、ネットワーク基盤の挙動そのものが結果を左右する場面が存在します。
特に共有エンドポイントでは、短時間に集中するトランザクション送信と、WebSocket や gRPC による常時接続が同時に成立します。この条件下では、接続の初動、TLS ハンドシェイク、転送処理、キャッシュの扱い、アイドル状態からの復帰といった基盤側の挙動が、そのまま体験品質と実行結果に反映されます。
平均的な応答性能が重要であることを前提としつつ、スパイク発生時や長時間稼働時には、通常時とは異なる要因が結果を左右します。したがって、日常的な利用における快適さと、崩れやすい局面における継続性が同時に成立していることが、実運用では求められます。
ERPC は、Solana 向け通信を支える基盤として、Rust 製の高性能プロキシ基盤を自社で設計・運用し、全リージョンへ同一方式で適用する構造を維持しながら更新を重ねてきました。今回のアップグレードは、実運用で観測される課題を、接続初動から長時間稼働まで分断せずに捉え直し、ネットワーク基盤全体を再整理したものです。
今回のアップグレードで利用者の皆様に起きる変化
今回の更新により、ERPC を利用する皆様の環境では、まず接続初動の挙動が整理されました。TLS を含む接続確立の段階で、条件不一致や不要な再試行が入りにくくなり、トランザクション送信やストリーム開始時に、処理へ入るまでの初動が安定しやすくなっています。
次に、ピーク時に結果が揺らぎやすい要因を、ネットワーク基盤側の挙動として整理しました。不要な接続を早い段階で選別し、HTTP/1.1・HTTP/2 の転送とタイムアウトの整合、接続プールの健全性、キャッシュ競合時の振る舞い、観測と切り分けのための計測を同時に更新することで、負荷が集中する局面でも挙動が偏りにくい条件を整えています。
また、長時間の WebSocket や gRPC ストリーム、常時監視用途において、接続の継続性が向上しています。切断、再接続、再同期が必要となる頻度と、その影響が結果へ波及しにくくなり、連続稼働を前提とした運用が組みやすくなりました。
キャッシュ制御および転送処理の改善により、混雑時に無駄な再取得や処理が増えにくくなっています。帯域と処理余力を安定して利用できる状態が維持され、計測とメトリクスの拡張によって、問題発生時の原因切り分けと復旧までの時間が短縮されやすくなります。
加えて、設定変更や基盤アップグレードをゼロダウンタイムで実施できるようになったことで、高速性、安定性、プラットフォーム品質を高頻度で引き上げやすい運用条件が成立しました。改善を止めずに積み上げられる構造そのものが、利用者体験の継続性を強化します。
改善点の詳細
本アップデートは、特定の機能名やバージョン番号を前面に出す更新ではありません。Solana の実運用で支配的になりやすい局面を、接続初動、TLS、L4 と HTTP の境界、H1/H2 転送、キャッシュ、観測、障害時挙動、継続運用の前提という粒度に分解し、それぞれを矛盾なく接続するための更新です。
以下では、取り込まれた改善点を、利用者体験へどう効くかという観点で説明します。
接続初動および TLS 処理の改善
接続確立時に扱われる TLS 文脈を拡張し、必要な状態を適切に保持・適用できる構造へ更新しました。これにより、接続初動における条件不一致や不要な再試行が入りにくくなっています。
証明書検証およびホスト名検証を含む TLS の取り扱いを整理し、セキュリティ要件を満たしながら、握手失敗や取り扱い不一致が引き起こす初動のロスが結果へ波及しにくい条件を整えました。これは安全性の強化に留まらず、Solana 利用において接続開始から処理へ入るまでの挙動を安定させる方向に寄与します。
TLS 周辺の挙動を観測・切り分けしやすくする仕組みも強化されています。初動が支配的になる局面では、問題を再現し、原因を特定し、改善を反映するまでの速度が、そのまま体験品質の維持能力になります。
不要な接続の早期選別による処理余力の確保
TCP 接続を初期段階で選別できる仕組みを導入し、不正または不要な接続が正規トラフィックを圧迫しにくい構造へ更新しました。共有エンドポイントでは、外部要因や一時的な偏りによって接続要求が急増する局面が発生します。
このとき、正規の通信が初動で詰まらないよう、早い段階で選別が行われることで、ピーク時における処理余力が確保されやすくなります。結果として、負荷が集中する局面でも挙動が偏りにくく、レイテンシ分布が安定しやすい条件が整えられています。
L4 と HTTP の境界整理による接続モデルの明確化
ネットワーク基盤は HTTP だけで完結しません。接続の成立と維持は L4 の条件に依存し、そこでの揺らぎが上位プロトコルの体験品質へ波及します。
本更新では、L4 ストリームの扱いを抽象化し、接続モデルをより明確に取り扱える構造へ更新しました。これにより、接続が増え続ける局面、クライアント実装が多様な局面、長時間継続で状態が遷移する局面においても、基盤側が一貫した挙動を維持しやすくなります。
再試行の扱いも整理され、短時間の揺らぎが連鎖して体験へ影響するパターンが抑えられています。単発の失敗ではなく、失敗が連鎖する構造を潰すことが、実運用での安定性に直結します。
HTTP/1.1・HTTP/2 転送および長時間稼働時の挙動改善
HTTP/1.1 と HTTP/2 を跨いで転送量を統一的に追跡できる計測が追加されました。これにより、転送のどの段階で滞留や詰まりが発生しているかを把握しやすくなり、問題発生時の切り分けと改善が速くなります。
HTTP/2 におけるボディ書き込みのタイムアウト挙動を整理し、負荷集中や長時間ストリーミングの局面でも、不自然な停止や詰まりが起きにくい方向へ調整しています。長時間接続で重要なのは、理想的な状態での最大性能ではなく、状態遷移時に挙動が崩れないことです。
アイドルタイムアウトや接続プールの扱いも見直され、長時間稼働で蓄積しやすい不安定要因が除去されています。HTTP/1.1 側でも、未完了のリクエストを抱えた接続を安全に収束させる整理が行われ、リソースと挙動の両面で揺らぎの温床を減らしています。
キャッシュ制御と運用品質の改善
キャッシュに格納しない理由を追跡できるようにし、キャッシュ挙動の説明可能性を高めました。キャッシュは、載るかどうかではなく、どういう条件で載り、どういう条件で外れるかが実運用では支配的になります。
ロック機構や stale の扱い、再検証時の振る舞いが整理され、ピーク時に競合が発生した場合でも、体験悪化が連鎖しにくい方向へ更新されています。資産数が増加した場合の追い出し制御や、Range リクエストを含む部分取得の扱いも整理され、無駄な再取得や遅延が生じにくい条件が整えられました。
これらの改善により、キャッシュ挙動が例外として暴れる場面が減り、利用者側がネットワーク挙動の不確実性に引きずられにくくなります。
障害時の挙動、ログ、観測の改善
障害時の挙動とログが整理され、何が起きたかを把握しやすい条件が整えられました。下流側のエラーがキャッシュや転送へ連鎖して体験を悪化させるパターンが抑えられ、障害の影響範囲を局所化しやすくなっています。
観測と切り分けの改善は、障害をゼロにするためではなく、発生した場合に速やかに収束させるためのものです。結果として、ピーク時や連続稼働時におけるリスクが低減されます。
継続運用の前提としての依存関係更新とセキュリティ修正
依存ライブラリの更新とセキュリティ修正を取り込み、プラットフォームとして長期運用を継続するための前提条件を維持しています。最小サポート Rust バージョン(MSRV)の更新や CI の整理も含め、基盤を継続的に更新し続けるための足場が整えられています。
更新可能であること自体が、長期の品質維持に直結します。
ゼロダウンタイム運用への移行
従来、ネットワーク設定変更や基盤アップグレード時には、短時間の停止が発生する場合がありました。今回の改善により、これらの作業を完全なゼロダウンタイムで適用できる構造へ移行しています。
共有エンドポイントでは、常時接続が存在し、運用中に重要なタイミングが継続して発生します。短い停止であっても、切断、再接続、再同期が連鎖し、そのロスが体験と結果へ波及します。ゼロダウンタイム化は、この連鎖を起こしにくくし、長時間稼働を前提とした運用を分断しない条件を作ります。
同時に、ERPC 側では、観測された課題を速やかに改善へ反映できる運用条件が成立しました。改善の反映頻度が上がることで、揺らぎや例外挙動を運用の中で潰し込み続けられる状態が作られます。
サービス別の影響
Solana RPC(HTTP / WebSocket)
接続初動、TLS、キャッシュ、転送処理の改善が、データ取得およびトランザクション送信の双方に作用します。通常時の快適さを維持しながら、ピーク時に結果が偏りやすい要因が抑えられ、混雑局面でも処理余力を確保しやすい条件が整えられています。
Geyser gRPC
長時間のストリーミング利用において、接続の継続性が向上しています。HTTP/2 の転送、タイムアウト整合、接続プールの健全性、転送計測の拡張が同時に効き、再接続や再同期のコストが結果へ波及しにくくなります。
Shredstream(Direct Shreds)
連続配信を前提とした接続管理と初動改善により、混雑時でも欠損や遅延が発生しにくい配信条件が整えられています。検知や追従において、安定した連続性が成立しやすくなります。
研究開発と実運用の接続
ERPC を含む分散システム基盤は、オランダ政府の研究開発支援制度 WBSO において研究開発プロジェクトとして認定されています。実運用で観測される課題を研究対象として取り込み、検証と反復を通じて改善を行う体制が成立しています。
今回のネットワーク基盤更新も、その反復の一つとして全リージョンへ適用され、利用体験としての高速性と安定性に反映されています。運用と研究開発が分断されていないことは、単発の改善に留まらず、実運用で観測された課題を次の更新へ確実に接続し続けるための前提条件です。
ERPC では、実際の利用状況や負荷変動、障害時の挙動を研究対象として取り込み、検証と改善を繰り返すことで、ネットワーク基盤の品質を段階的に引き上げています。今回のアップデートも、こうした継続的な研究開発と実運用が接続された体制の中で実施されたものです。
利用者の皆様への案内
本アップデートは、すでに全リージョンの全共有エンドポイントへ適用済みです。既存の ERPC 利用者の皆様は、追加の設定や運用変更を行う必要はありません。価格、仕様、認証方式、レート制限に変更はありません。
共有エンドポイントの特性上、短時間のスパイク負荷と長時間接続が同時に存在する環境でも、挙動が偏りにくい条件が整えられています。運用中に設定変更や基盤更新が行われた場合でも、ゼロダウンタイムで適用されるため、接続の分断や再同期を前提とした対応を行う必要はありません。
構成に関するご質問、ユースケースに応じた最適化の相談、実運用でのフィードバックについては、Validators DAO 公式 Discord にて受け付けています。
ERPC は、実運用で観測される課題とフィードバックを改善へ接続し続けることで、基盤品質を段階的に引き上げてきました。今後も、ゼロダウンタイムで改善を積み上げながら、Solana 実運用で結果が成立し続けるネットワーク基盤の提供を継続していきます。
Validators DAO 公式 Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR
ERPC 公式サイト: https://erpc.global/ja


